カワセミと蛍のいた川を想ふ

カワセミ

このページはかつてカワセミや蛍をはじめいろんな生きものたちが住んでいて、私に自然の面白さを教えてくれた近所の川について書いています。

もうかれこれ20年ほど前になりますか、この川にもカワセミと蛍が住んでいました。当時小学生だった私は暇さえあれば外で何か生きものを捕まえていたような少年だったので、当然この川にも一週間のうち何回も釣りや魚とりに来ていましたね。
そんな私がカワセミをはじめて見たのは友達と一緒に釣りをしている時でした。

たぶんちょうど目の高さぐらいだったと思います。あのブルー&オレンジがぴゅーっと通り過ぎていったんですよね。あっと思ったらもう後ろ姿になってましたけど、不自然なぐらい映えてたのを憶えてますよ。
その友達と顔を見合わせて言葉を交わしました。

「今の見た?」
「うん、カワセミだよね!」

目をキラキラ輝かせながら。多分二人ともさすがにカワセミほどの鳥はこの川にはいないだろうと思ってたのでとてもうれしかったんですよね。

それからというものその川にいくときは、 「今日はいるかな?」なんて会えるのを楽しみにするようになったんですが、そうすると不思議なことにしばしば見かけるるようになりました。飛んでるところも休んでるところも。

当然会えないことのほうが多かったですが、幻の鳥というほどではなかったですね。20年前は。

また蛍もたくさんいました。その時期がくれば無数の蛍たちがまさに乱舞していましたし、それは夏の夜の普通の光景でした。しかし今ではかなり山に近い上流のほうまでいかないと見られなくなってしまいました。

ずいぶん昔に立てられたんでしょう「ホタルが飛ぶきれいな川にしよう  ○○小学校」という看板が倒れて朽ち果てています。

カワセミや蛍がいなくなってしまった原因

まず水質の悪化がそのひとつといえると思います。ある日久しぶりに魚でも捕まえてやろうってことで川に入ってみたことがありました。
でも川の中に足を一歩踏み入れた瞬間「だめだ」と思いました。なぜなら川底がヌルッと滑ったからです。

100mほど網を持って下ってみましたがずーっと気持ち悪いほどヌルヌルでした。こりゃ蛍なんかいられるわけがないと思いましたよ。当然魚もびっくりするほどいなかったですしね。とてもショックでした。

また護岸工事も原因のひとつであると思っています。理由はその工事が始まった翌年からぱったり蛍たちが姿を消してしまったから。ただそれだけです。

護岸工事も必要だしなぁ…

しかし護岸工事を完全に否定するわけではありません。治水などの関係もありますしね。でもそのせいで川が川ではなく水路になってしまっているということはいえると思います。

川べりの草むらを住処にしている魚たちは生きていくのが難しくなるでしょうし、その結果それを狙うカワセミがいなくなるのも当然ですよね。
蛍は土の土手がなきゃどうしようもないです。

人間を守るか生き物たちを守るか・・・どっちも守りたい!
しかしながら残念な事にカワセミも蛍もこの川においては絶滅してしまいました。

守る生きものたちがいなくなる前に。。。

私がじいさんになったとき、

「ここは昔、川だったんじゃよ。魚もたくさんおってのぉ、カワセミや蛍までおったんじゃよ」

なんていうことがありませんように。