懐かしいリールの音

ダイワ ハイキャスト

今日のスピニングリールは、メーカー品のものならばそのほとんどが静音設計になっていますよね。
また、糸を巻き取る時にはその巻き終えた位置でハンドルがとまると思います。

でも、一昔前のリールは違いました。巻く度に「カリリンカリリン」と音がしたものです。そして、今ほどギアやらベアリングやらの内部構造が進歩していなかったため、巻き終えた位置でハンドルがとまらずにちょっとだけですが戻るんです。

「カリリンカリリン、カクッ・・・」ってな具合に。

その当事はそれが普通だし、周りもみんなそんなんでしたのでなんの違和感もなかったんですが・・・

ある日、釣り道具の倉庫を整理していましたら、懐かしい2,30年前のダイワのリールが出てきました。当然もう傷だらけ、ほこりだらけ。

そして、なんだかよく分かりませんが、やたらブサイクでデカくて重いんですよね、昔のリールって。でも、はぜからセイゴからいろんな魚を釣った思い出のリールなんですね。

ちょっとセンチメンタルになってそっとハンドルを回してみました。

「カリリカリリカリリ・・・」

まだしっかり動きます。もう少し勢いよく回してみました。

「カリリンカリリンカリリンカリリン・・・・・」

いやはやもう、なんていう懐かしい音なんでしょう!

暑い夏の日差しの中でのはぜ釣りや、ゴカイの臭いがよみがえってくるじゃありませんか。

これはもう使ってやらない手はありません。そいつをきれいに洗い、純正オイルを注入したら準備OK。
レトロリールを引っさげて釣行してきました。

レトロリールの実力は?

さて、意気揚々と釣り始めて数投。なんだかものすごい違和感といいますか、使いづらさといいますか、そんなんにさいなまれることになりました。

まず第一にこの重さ。もうどうしようもなく重たいんですよ、これが。まぁそのデカさからいって重いのは予想してたのですが、まさかここまでとは・・・

倉庫の中で持ってみたときにはそんなには感じなかったんですけどね。軽い竿にひっつけていたので、非常にアンバランスでしたし、リールだけ持っているような感覚ですぐに手首や腕が痛くなってきてしまいました。

そして第二に、糸を巻き取る際のハンドルの戻り。「カリリカリリ、カクッ」のカクッの部分ですね。
このハンドルの巻き戻り?のないリールに慣れてしまっている体はどうしても違和感を感じずにはいられませんでした。

少しづつさびいて誘ったりするときなんか当然カクカクいいまくるわけなんです。そんでもって気になり始めるともう気になって気になって仕方がない。

それでもそういう作りだからどうしようもないわけですが本当に閉口した事っていうのがなんと、あろうことか、ほかでもないこの懐かしい巻き取り音だったのです!

恐るべしレトロリールサウンド

リールを巻いてノスタルジックになっていたのは最初のうちだけでした。なぜかって言いますと、、、

そのレトロリールの醸し出すサウンドが想像をはるかに超えるほどバカデカかったからなんです。こんな風に書くぐらいですからかなりの大音量です。懐かしい気分なんかどこかに追いやってしまうほどの。

それにそのサウンドのせいでしょうか、仕掛けを巻く度に何人かの釣り人が視線をこちらに向けてくるんですよね。それも結構向こうの方の人まで。

まぁどんな思いでこちらを見たのかは分かりませんけど、なんだか変な緊張感みたいなものも感じ始めました。(魚がついてないの分かってて見られるのはちょっとねぇ)

さすがの私も恥ずかしい、ひいてはこの大音量が迷惑なんじゃないかとさえ思い始め、ついにはレバーをオフにして音が出ないようにして巻いてましたよ。
実戦で使用するには、いろんな意味で使いづらいというのが分かりました。(汗)

でも好きだぜ、レトロリール

ブサイクでデカくて重たいボロボロのレトロリール。おそらく今後、実戦では君の出番はないだろう。

でもたまには倉庫の奥から引っ張り出してあげよう。そしてつかの間、少年時代のあの場所へ連れて行っておくれ。
そのぎごちない動きと音で・・・