ツバメに春を知る

つばめ

春を告げる生きものとして最も身近なもののひとつにツバメがいますね。古い和歌や短歌にも詠まれている通り、ずいぶん昔から毎年忘れることなく春になると日本へ渡ってきていたことがうかがい知れます。

そんなツバメですが、我が家にも居間からすぐ見える位置に巣を作ってくれます。なので訪問してくるとすぐ分かるんですね。
「お、来た来た!」ってな具合にです。また、
「今年はツバメ遅いなぁ・・・」なんていう会話が出てくればもう春本番です。

そして今年も肌寒さの薄れた頃、軒先にツバメたちがやってきましたよ。もう十数年来、毎年うちで子育てをしてくれています。うららかな春の陽気の下、愛らしい表情をのんびりと眺めてみるのもいいもんです。
せっせと餌を運ぶ親鳥、すくすくと大きくなる雛鳥、巣立ちの日、そして夏の訪れへ。

ところで、私はツバメの中でも巣立つ直前の若鳥を見るのが特に好きなんですね。
巣の近くにある電線に親鳥と並んで止まっています。体の大きさもほとんど親と変わらないほどに成長しました。喉もとの赤色も鮮やかに立派なもんです。

でも親鳥に比べるとなんか姿がシャープじゃありません。ボサボサしてる感じでしょうか。
でもこのボサボサがまたなんともいいのです。やんちゃ坊主なのか、おとなしい娘っこなのか分からないけど 、なんかこう甘えん坊な雰囲気を醸し出しているんですね。

しかしながら旅立ちの日は近づいていて若鳥もそれを十分知っています。でもまだ何かが心の中に残っていて、そのまま飛び立つのを躊躇させている。あぁ、青春・・・

さてと、今年も元気に巣立っていってくれるんだろうか、なんて思いながら見守っていました。
ところがですね、なんとツバメたち、どうも気に入らなかったらしく別の物件を探しに行ってしまいましたよ。
雛が巣立つどころか、その前の段階で却下されてしまいました。ショボーン・・・

ツバメたち、来年また変わらず春の風に乗ってやって来いよ!